令和6年10月10日、12年以上登記がされていない株式会社等に対して、法務大臣による官報公告が行われ、同日付けで管轄登記所から通知書の発送が行われています。そして、同年12月11日までに必要な登記の申請や届出をしていない株式会社等は、12月11日付で解散したものとみなされ、登記官の職権で解散した旨の登記がされています。
本手続きにより、昨年(令和5年度)は27,887の株式会社が、制度が始まった昭和49年からは、これまでに約71万社が解散したものみなされています。
出典:休眠会社・休眠一般法人の整理作業について
そもそも株式会社の場合、会社法の規定により、取締役の任期は最長でも10年とされており、例え取締役のメンバーに変更が無かったとしても、10年に一度は同じ人を選び直したことによる登記申請(取締役の重任による登記)を行わなければいけません。そのため12年もの間登記が行われていない株式会社は、事業を廃止して、実態が無くなっている可能性が高く、具体的には下記のような理由により、本手続きが行われています。
・事業を廃止して形だけが残っている会社が、いつまでも登記記録上も残り続けることが懸念されるため
・実際は事業を行っていない会社を売買するなどして、犯罪に利用される可能性があるため
では、上記のように解散したものとみなされた株式会社が、事業を続けたい場合にはどうすればいいのでしょうか。
この場合には、解散した日(令和6年12月11日)から3年以内に、株主総会で会社を継続する旨の決議を行い、その登記申請をする必要があります。
そして、本手続きは平成27年度からは毎年度実施されていますので、おそらく今年(令和7年度)も行われると考えられ、冒頭の管轄登記所からの通知書は、毎年10月頃に発送されています。ですので、万一まだ事業を廃止していない株式会社に、上記の通知書が届いた時の対応方法をご説明いたします。
①「まだ事業は廃止していない」旨の届出を登記所に行う。
これは、届いた通知書の下段にある「届出書」に必要な事項を記載して、登記所に郵送又は持参する方法です。
ただし、登記所からの通知書が何らかの理由で届かない場合でも本手続きは進められてしまう点や「まだ事業を廃止していない」旨の届出をした場合であっても、必要な登記申請(役員の変更の登記等)を行わないと、翌年の本手続きの対象となってしまう点にご注意ください。
②必要な登記申請を登記所に行う
解散したとみなされた株式会社は、少なくとも上記の10年に一度の役員の登記を怠っていますので、申請が必要となる登記を行います。なお、必要な登記申請を行ったとしても、これまでに登記の申請を怠った事実は変わりませんので、100万円以下の過料(行政罰)が課される可能性は残ります。
上記のとおり、解散したものとみなされた後であっても解散前の状態に戻す(会社を継続する)ことは可能ですが、通知書が届いた後すぐに対応することで、手間も費用も軽減できます。
もしご家族で会社を経営していて、登記の申請はしばらくしていない場合や自社が職権で解散されていないか心配な場合には、一度弊所にご相談いただければと思います。