→会社の目的は登記事項なので、公示するのに不適格な表記や文言では登記できません。そのため会社の目的を定めるにおいては「適法性」「営利性」「明確性」を満たしたものでなければならないとされています。

「適法性」

会社は法律の下に存在しているので、当然のことながら公序良俗に反することを会社の目的とすることはできません。また、法律により一定の資格を有する者、法人でしかできないとされている業務を会社の目的とすることもできません。例えば「覚せい剤の販売」「弁護士業務」「銀行業務」などを会社の目的とすることはできません。

「営利性」

会社は営利活動を目的として、株主に利益を還元するために事業を行うことが本来の存在意義なので「政治献金」や「ボランティア活動」などの非営利的な内容を会社の目的とすることはできません。

「明確性」

会社の目的はそもそも会社がどのような営業活動をするのか第三者が判断できるよう登記事項とされているため、誰が見てもイメージが湧くような明確なものである必要があります。一定の範囲の者しか知り得ないような造語などは、会社の目的として登記できません。

なお、従前の商法時代の登記制度では「具体性」も会社の目的として必要とされていましたが、この点は会社法の改正により要件ではなくなりました。ただ、事業目的を登記事項とする意味を考えれば、具体性がない目的を定めて登記したところで登記簿を見た方に理解してもらえないでしょうから、いまなお具体性をもった事業目的を定めるべきでしょう。