社員が1名の合同会社において、唯一の社員が死亡した場合、会社の存続はどうなるでしょうか?

原則的には、当該社員が有する合同会社の持分は相続の対象にならず、相続人が持分を承継することができないため、唯一の社員が死亡した場合には、会社法641条1項4号「社員が欠けたこと」に該当して、合同会社は解散することとなります。

一方で、合同会社は定款に「相続人が当該社員の持分を承継することができる」旨(会社法608条)を定めることができ、この定めがある場合には、相続人が持分を承継して社員として加入するため、社員が欠けたことを理由として解散することにはならず会社を存続させることができます。
この定款の定めにより相続人が持分を承継する場合であって、相続人が複数人いる場合には、相続人全員(相続放棄をした者等を除く)が、相続開始と同時に法定相続分割合に従って持分(社員の地位)を承継することになります。よって、たとえ遺産分割によって相続人中の1人のみを持分の承継者と定めたとしても、当該1人のみを社員として加入させる登記は受理されず、一旦、相続人全員が社員として加入した後に、社員となることを望まない相続人は持分譲渡等によって退社するという考え方で登記をする必要があると考えられています。
ただし、遺言によって相続人中の1人のみが持分を承継するとされた場合には、相続発生と同時に当該1人のみが持分を承継し、他の相続人が持分を承継することがないため、相続人全員を加入させることなしに、持分を承継する当該1人のみを社員として加入させる登記は受理されるものと思われますが、事前に法務局へ照会なさることをお勧めします。

冒頭にあるとおり、合同会社の持分は原則として相続対象外のため、社員1人の合同会社においては相続の発生が会社存続を左右する事態となってしまいますから、自社の定款に「相続人が持分を承継することができる」旨の定めがあるかどうか確認し、定めがない場合には定款を変更して定めを設けることをお勧めします。

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書式:持分譲渡契約書