※任期のある株式会社の機関には、取締役・監査役・会計参与・会計監査人がありますが、この記事では取締役の任期に絞って説明します。

取締役の任期は、「選任後●年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結のときまで」ですが、この任期の考え方について事例で説明します。
なお、会社法上、取締役の任期は2年が標準ですが、非公開会社(委員会設置会社を除く)については、定款で最長 10 年とすることができます。

【事例設定】

    • 取締役の任期が2年、事業年度が毎年 4/1~3/31 であって、事業年度終了後 3 ヶ月以内に定時株主総会を開催する会社。
    • 取締役の任期について、「補欠又は増員により選任された取締役の任期は、他の取締役の任期の残存期間と同一とする」との定款規定がある。

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(1)取締役Aについて
Aは R3.6.25 の定時株主総会で選任されたので、選任後 2 年以内に終了する事業年度は R4.3.31 とR5.3.31 であり、R5.3.31 の事業年度が最終なので、それに関するR5.6.27 の定時株主総会終結時までが任期となります。

(2)取締役Bについて
Bは R3.6.25 の定時株主総会で選任されたので、本来の任期はAと同じく R5.6.27 の定時株主総会終結時までですが、R4.9.30 に辞任したため、Bの任期は途中で終了します。

(3)取締役Cについて 【辞任したBの後任として選任】
Cは R4.10.1 の臨時株主総会で選任されたので、選任後 2 年以内に終了する最終の事業年度は R6.3.31 であり、それに関する R6.6.29 の定時株主総会終結時までが任期になりそうですが、CはBの後任(補欠)として選任されているため、定款規定によりCの任期は、Bの任期の残存期間と同一とされ、R5.6.27 の定時株主総会終結時までとなります。

(4)取締役Dについて 【増員取締役として選任】
Dは R5.1.4 の臨時株主総会で選任されたので、選任後 2 年以内に終了する最終の事業年度は、R6.3.31 であり、それに関する R6.6.29 の定時株主総会終結時までが任期になりそうですが、Dは増員により選任されているため、定款規定によりDの任期は、選任時の他の取締役(AとC)の任期の残存期間と同一とされ、R5.6.27 の定時株主総会終結時までとなります。

よって、この事例では、R5.6.27 の定時株主総会終結時をもって、取締役全員の任期が満了することになります。

このように、取締役の任期は定款規定により修正されるため、必ずしも選任から●年後が任期満了時期になるわけでなく、より早い時期で満了になることもあります。

任期途中で取締役の増員や交代があったために、各取締役の任期が不明確になっている会社様がありましたら、一度、弊社パートナーズ司法書士法人にご相談ください。登記記録や定款、過去の株主総会議事録などから、貴社の役員任期を特定致します。

書式:株主総会議事録【取締役の重任】