平成18年の会社法施行前において、同一市区町村及び近隣市区町村において、既に同一又は類似する商号を使用した会社が存在する場合には、その商号を使用した設立登記は却下されていました。会社法施行後は、この「同一商号」「類似商号」の使用を制限する制度は廃止され、商号・本店ともにまったく同一の会社が存在しない限りは、たとえ「同一商号」「類似商号」の会社が存在していたとしても設立登記は受理されるようになりました。

ただし、これは積極的に法務局が商号の使用を許可したという意味ではなく、既存の「同一商号」「類似商号」の会社から後に不正使用を理由として損害賠償や商号の使用差止めの請求をされるおそれは否定できません。特に、商号について「商標登録」をされている場合には要注意です。

そのため、商号の決定においては、事前にインターネットや商標検索にて「同一商号」「類似商号」の会社や商標登録の存否を十分に確認する必要があります。なお、現在では、全国各地の会社の登記簿がインターネットで閲覧できますので、登記上「同一商号」「類似商号」の会社が存在するか否か、比較的簡易に確認することも可能となっています。