※この記事では取締役及び代表取締役の重任登記に絞って説明しますが、できるだけ分かり易くするために一部の細かい規定等は省略しておりますので、実際の手続きの際は、お近くの司法書士事務所や管轄の法務局へ相談なさってください。

 定時株主総会の終結時をもって現任の取締役が任期満了となる場合は、同一人が引き続き取締役の職に就く場合であっても、定時株主総会で選任し直して、法務局へ重任登記を申請する必要があります。以下では、現任の取締役及び代表取締役の全員をそのまま同一役職で再選する場合を想定して、登記の必要書類について説明します。

1.株主総会議事録
 同一の取締役が再選されたことの証明として添付が必要です。
 この議事録には「本定時株主総会の終結時をもって取締役全員が任期満了退任する」旨の文言を記載しましょう。それにより、仮に取締役の任期が「2年」でない場合でも、議事録以外の任期満了時期を証する書類の添付が不要になります。
 また、議事録への署名押印(記名押印)について、会社法上の規定はなく定款の規定に従うことになりますが、下記3-②に注意してください。

2.株主リスト
 取締役の選任決議について、次のいずれか株主の人数が少ない方のリストを作成して添付が必要です。
 ①議決件数が上位10名の株主
 ②議決権割合が3分の2に達するまでの株主(議決権の多い方から加算)

3.代表取締役の選定を証する書類(取締役会議事録、取締役の互選書)
 取締役としての任期が満了することで、代表取締役も一旦退任となるため、改選が必要であり、選定の方法により次の書類の添付が必要です。
【取締役会のない会社】
 ①取締役の互選で選定するとの定款の定めがある場合
 取締役の互選書+定款の添付が必要です。互選書への押印は、現任の代表取締役が法務局届出印(会社実印)を押すことで、他の取締役は認印で足ります。(※本来は取締役全員の個人実印+印鑑証明書が必要ですが、代表取締役が法務局届出印を押す場合は省略できます。)
 ②株主総会で選定する旨の定款の定めがある会社、各取締役が会社を代表する会社
 定時株主総会議事録が代表取締役の選定を証する書面を兼ねます。この場合、株主総会議事録への押印は、議長及び出席した取締役が行う必要があります。印鑑については、①と同様に現任の代表取締役が法務局届出印(会社実印)を押すことで、他の取締役は認印で足ります。
【取締役会のある会社】
 ③取締役会のある会社は、定款に特段の定めのない限り、取締役会議事録の添付が必要です。議事録への押印は、①と同様に、現任の代表取締役が法務局届出印(会社実印)を押すことで、他の取締役は認印で足ります。

4.取締役の就任承諾書
 再選された各取締役が就任を承諾したことの証明として添付が必要です。承諾書への押印は、再選(再任)の場合は認印で足ります。

5.代表取締役の就任承諾書
 選定の方法が上記3-①及び③の場合には、再選された代表取締役が就任を承諾したことの証明として添付が必要です。承諾書への押印は、再選(再任)の場合は認印で足ります。

※ 就任承諾書の議事録援用
 再任された取締役及び代表取締役が、選任(選定)に関する株主総会・取締役の協議(互選協議)・取締役会に出席しており、かつその場で就任を承諾した場合には、各議事録への「なお、被選任者(被選定者)は席上就任を承諾した」旨の記載をもって、就任承諾書の添付に代えることが出来ます。

※ 近年の法令改正で登記手続上は、就任承諾書への認印の押印が不要となりましたが、当事務所へ登記を委任いただく場合は、意思確認の一環として認印を押していただいております。

 以上の書類を添付して、登記申請書とともに管轄の法務局へ提出します。
 なお、代表取締役が重任する場合は、法務局届出印の再提出は不要で、印鑑カードも既存のものをそのまま使用できます。

 取締役の重任登記の必要書類は概ね上記のとおりですが、御自身で行うには少々難解かもしれませんので、役員の改選時期を迎えていましたら、弊社パートナーズ司法書士法人にご依頼ください。各種書類作成や法務局への登記申請と一連の手続きを代行致します。