会社や法人については、法務局に所定の手数料を納付することで、登記事項証明書(登記簿)を交付してもらうことができます。この登記事項証明書には、いくつか種類があり、記載されている情報に違いがあります。

① 現在事項(全部/一部)証明書
 証明書の交付日時点で現に効力を有する登記事項が記載されています。従って、例えば、役員に関する事項は現在の取締役や代表取締役の氏名等だけが記載されます。辞任した取締役の氏名等や重任した取締役であっても重任前の氏名等は記載されません。なお、商号と本店に限っては、変更がある場合の直前のものは記載されます。現在の登記事項が分かれば足りる場合には余分な情報がないので内容が見やすいと言えるでしょう。

② 履歴事項(全部/一部)証明書
 現在事項証明書に記載される事項に加えて、証明書の交付日から過去約3年間に変更(抹消)された事項も記載されます。従って、役員の例であれば、その期間内に辞任した取締役の氏名等や重任前の取締役の氏名等も記載されます。同一の登記事項について期間内に数回の変更がある場合には、その変更履歴がすべて記載されます。抹消された事項も載っているので慣れないと少し見づらいですが、現在事項証明書よりも多くの情報が分かります。

③ 閉鎖事項(全部/一部)証明書
 閉鎖事項証明書は大きく3種に区別できます。
 1つ目は、会社が解散し清算結了することでその会社の登記記録が完全に閉鎖されたものです。
 2つ目は、上記履歴事項証明書に記載される過去約3年間を経過した変更事項が記載されたものです。例えば5年前の変更は履歴事項証明書には記載されずに閉鎖事項証明書に記載されます。現在も存続中の会社について古い変更内容を知りたい場合は、この閉鎖事項証明書を確認します。
 3つ目は、登記記録のコンピュータ化に伴って閉鎖された「紙」で管理されていた頃の登記記録です。「閉鎖登記簿」と呼ばれます。平成の初めから17年頃にかけて法務局ごとに順次、登記簿がコンピュータ化されたことに伴い既存の登記簿が閉鎖されました。コンピュータ化前の変更内容を知りたい場合はこの閉鎖登記簿を確認することになります。
 なお、コンピュータ化された閉鎖登記事項証明書は、会社の本店所在地にかかわらず、どこの法務局でも交付してもらえますが、3つ目の閉鎖登記簿については、その会社の当時の本店所在地を管轄する法務局に保管されているため、その法務局に出向くか郵送で交付申請する必要があります。

④ 代表者事項証明書
 会社の現在の代表者(代表権に関する事項)のみが記載された証明書です。例えば、会社を相手方として訴訟を提起する場合に、代表権を有する者を明らかにするために訴状とともに裁判所に提出します。記載情報が限定されているため用途によっては非常に分かりやすいです。

 以上のとおり会社の登記事項証明書には複数の形式があるため、必要とする情報に応じた証明書を取得する必要がありますが、中々分かりづらいかも知れません。何かお困りごとがある場合には、弊社パートナーズ司法書士法人にご相談ください。