株式会社は原則として以下の公告が法律で義務付けられています。

  • 決算公告・・・会社法では決算承認をした定時株主総会後に遅滞なく貸借対照表の内容またはその要旨を公告することになっています。(合同会社や有限会社には決算公告義務はありません。)
  • 決定公告・・・合併や会社分割、資本金の額の減少等を行う際に、債権者保護を目的として一定期間の公告が義務付けられている場合に行う公告です。

そして会社の設立の際には公告方法を定めなければいけません。
通常は定款で定めますが、なんら定めない場合は「官報に掲載する方法」で公告を行うこととなります。(会社法939条4項)

公告方法は原則として以下の3つの中から選択することになります。(会社法939条1項)

  • 官報に掲載する方法
    →国が発行する官報紙に掲載する方法
  • 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
    →日経新聞や毎日新聞などの新聞紙に掲載する方法
  • 電子公告
    →ホームページなどオンライン上に掲載する方法。そのURLも登記事項となります。

1つ目の官報公告は、日刊新聞紙に比べて公告掲載費用が安く済むこともあり、公告方法を官報と定めている会社が最も多いです。反面、申込みから掲載まで約10営業日前後かかるため、実際に公告を行う際には事前の計画が必須です。

2つ目の日刊新聞紙は、新聞社にもよりますが、一般的に掲載費用が高額なため中小企業で定めている会社は多くありません。

3つ目の電子公告は、会社のホームページなどに掲載するため、サーバー代などを除き費用がかかりません。しかし電子公告で決算公告を行う場合には貸借対照表の要旨だけでなく全文を掲載し、かつ5年間分掲載する必要がありますので注意が必要です。
また、決定公告を行う場合に、その会社の公告方法に関わらず「官報」公告を行う必要があり、更に個々の債権者に対して催告通知を行うことが義務付けられていますが、この個別の催告を省略するためには官報公告+公告方法による公告を行うこととなります。この場合に官報+電子公告による場合には、登記の添付書面として「公告をしたことを証する書面」が必要となり、電子公告をしたことについて専門の調査会社に証明書を発行してもらう必要があり、業者にもよりますが、この費用が数十万かかることがあります。

以上の点を考慮し、設立しようとする会社の規模や、今後の計画を踏まえた上で公告方法を定めることをお勧めしています。