A市に本店を置く株式会社XがB市に本店を移転して、A市の旧本店所在地に支店を設置する場合、次の2通りの申請が考えられます。

  1. A市を管轄する法務局に本店移転の登記及び支店設置の登記を申請し、A市を管轄する法務局での登記完了後、B市を管轄する法務局に本店移転の登記を申請する。
  2. A市を管轄する法務局に本店移転の登記を申請し、B市を管轄する法務局での本店移転の登記完了後、B市を管轄する法務局に支店設置の登記を申請する。

前者と後者では、申請の際に収める登録免許税に違いが生じます。前者の場合、登録免許税は12万円(内訳:本店移転2箇所で6万円、支店設置で6万円)ですが、後者の場合、12万9,000円(内訳:本店移転2箇所で6万円、支店設置で6万円、支店登記で9,000円)となります。また、登記完了後にできあがる登記記録の記載にも違いが生じます。前者の場合、支店設置を記載した後に本店移転をするため、本店移転後のA市における登記記録は、商号、本店、支店及び会社の成立年月日ならびに登記記録区にされた登記以外の登記事項が抹消されます。一方で、後者の場合は本店移転後に支店設置するため、まず本店移転の登記によりA市における登記記録が閉鎖され、支店設置により新たに支店の登記記録がおこされることになります。