①未成年者であっても、発起人として株式会社に対して出資して株主になることができます。
ただし、未成年者が法律行為をするには、未成年者の意思能力の有無に応じて、法定代理人が代理して行うか、あるいは法定代理人の同意を得て行う必要があります。(注:意思能力とは、ざっくりと言えば、自分の行為の意味を理解する精神的な能力のこと。)
未成年者に意思能力があり、発起人として出資することの意味を理解できる場合であれば、法定代理人の同意を得て発起人になることができますし、幼児など意思能力がない場合には、法定代理人が代理することで発起人になることができます。
なお、手続面では、株式会社設立時の定款は公証人の認証を受ける必要があり、認証時に発起人の印鑑証明書を提出する必要がありますが、多くの自治体で15歳以上でないと印鑑証明書の発行を受けることができません。そのため、未成年者自身が印鑑証明書の発行を受けられない場合には、意思能力がある場合でも法定代理人が代理し、法定代理人の印鑑証明書を提出することになります。

②会社法の規定上は、未成年者であることが取締役の欠格事由ではないので、未成年者であっても取締役になることが可能と言えます。ただし、取締役に就任することは会社との委任契約であり、会社としては取締役の能力を見込んで委任することを考えると、意思能力のない未成年者が取締役に就任することは、たとえ法定代理人の同意があってもできないですし、取締役の職を法定代理人が代理することもなじまないので就任できないと言えます。(意思能力の有無を年齢で一律に線引きすることは困難ですが、少なくとも幼児に意思能力はないといえます。)
一方で、未成年者であっても意思能力が認められる場合には、法定代理人の同意を得て取締役に就任することができます。なお、この場合でも、未成年者が代表取締役になれるかという点では、代表取締役は対外的に会社を代表する責任を負うことから、たとえ意思能力を有するとしても、例えば10歳の未成年者が代表取締役になることはできないと考えられています。
また、手続面でも注意が必要です。設立登記の申請書に印鑑証明書の添付が必要であり、上述のとおり印鑑証明書の発行が受けられる年齢に制限があるので、それによっても取扱いが異なります。
(1)設立する会社が、取締役会を設置しない会社である場合
設立時取締役の印鑑証明書の提出が必須であるため、印鑑証明書の発行を受けられない年齢の未成年者を取締役とする登記申請は受理されません。
(2)設立する会社が、取締役会を設置する会社である場合
提出が必須なのは、設立時代表取締役の印鑑証明書であるため、未成年者が印鑑証明書の発行を受けられない場合でも、未成年者を取締役とする登記申請は受理されます。

上記は設立時の記述となっていますが、会社設立後の役員変更や増資(資本金の額の増加)の場合にも概ね上記と同様ですので注意しましょう。
未成年者が関与する手続きを行う場合に、どのような点に注意すべきかは無料相談でアドバイスさせていただきます。お気軽に無料相談をご利用ください。

※本記述は一般論であって、定款認証を受ける公証役場や、登記申請の管轄法務局によって取扱いが異なることも考えられますので、必ず実際の申請先にご確認ください。